日本政府は、米大統領選に勝利した共和党のトランプ氏側との関係構築を急ぐ方針だ。トランプ氏が選挙期間中、駐留米軍経費の負担増などを主張してきたのを踏まえ「日米同盟が弱体化しかねない」(外務省幹部)と警戒する。安倍晋三首相は9日、河井克行首相補佐官と官邸で会い、来週訪米し、次期米政権の関係者と接触するよう指示した。
首相はトランプ氏への祝辞を発表し、日米両国は「揺るぎない同盟国だ」と強調。中国の台頭や北朝鮮の核、ミサイル開発を念頭に「アジア太平洋地域の平和と繁栄を確保するために、日米両国で主導的役割を果たしていくことを心から楽しみにしている」と述べた。
政権内には、優勢との見方があった民主党のクリントン氏が敗れたことで「対日、対アジア政策が変わる可能性がある」(官邸筋)との懸念が強まっている。
訪米する河井氏は官邸で記者団に「日米同盟をさらに強固なものにしたいという首相の考えを伝える」と述べた。政府は次期大統領が来年1月に就任した後、早い時期の日米首脳会談も模索する。