
建議を手にする麻生太郎財務相(右)と財政制度等審議会の吉川洋会長=17日、東京都千代田区【拡大】
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は17日、2017年度予算編成に関する建議(意見書)を麻生太郎財務相に提出した。財政再建に向け、国債費などを除く一般歳出の17年度の伸びを5300億円に抑えるとした財政健全化計画の目安を堅持するよう提言した。なかでも社会保障費は、高齢者にも能力に応じ負担してもらうなど徹底した抑制を求めた。
財政健全化計画では一般歳出の伸びを16~18年度で約1兆6000億円(年5300億円)、うち社会保障の自然増を1兆5000億円(年5000億円)とする目安を掲げる。建議は「16年度に引き続き目安に沿って確実に抑制すべきだ」とした。
社会保障費の圧縮を最大の課題と位置付け、医療費の自己負担に上限を設ける「高額療養費制度」で、70歳以上の負担上限を現役世代並みに引き上げるなど「年齢でなく、能力に応じた負担」を訴えた。
教育分野では、外国人生徒や発達障害のある生徒たちへの対応について、単に教職員の数を増やすのではなく、「質の向上が重要」として、専門家ら外部人材の活用を求めた。
地方財政では、地方交付税交付金の適正規模について「一層の精査が必要」と指摘した。
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■財政審の建議のポイント
・2017年度予算で一般歳出の伸びは5300億円に抑制すべきだ
・20年度の基礎的財政収支黒字化目標は引き続き順守を
・高額療養費制度で、70歳以上も所得に応じて現役世代並みの負担を
・高額ながん治療薬「オプジーボ」は速やかな薬価改定を
・身近な「かかりつけ医」以外を外来で受診した場合は定額負担を
・地方交付税交付金は適正規模について一層の精査が必要
・公立小中の教職員定数を増やす際は、効果の科学的根拠を