日露両政府は18日、8項目の経済協力案に関する作業計画を策定し、具体化に向けて年内から順次協議を始めることで合意した。12月に予定されるプーチン大統領の訪日で一定の成果を出すため、調整を急ぐ。
世耕弘成経済産業相が19日、ペルー・リマでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて開かれる日露首脳会談で報告する。
8項目は、安倍晋三首相が5月のプーチン大統領との会談で提案した。
このうち人的交流分野では、観光振興に加え大学やスポーツなどで交流を活発化するため、ビザ(査証)の発給要件を緩和することで一致。医療分野では小児科に関する協議を年内に始めるほか、2017年から高齢者向け施設、リハビリ施設などでも検討に入る。
露国営原子力企業「ロスアトム」が参加して、原子力分野での技術協力を進めることでも合意した。
一方、作業計画が予定通りまとまって、ロシア側の交渉窓口だったウリュカエフ前経済発展相の訴追が交渉を停滞させる懸念は払拭されたが、不安は解消されていない。
ウリュカエフ氏はプーチン氏が自ら指名した経済協力の統括役であり、訪日が迫った段階で電撃的に解任された影響を日本政府も測りかねているのが実情だ。
日露両政府は今後、8分野のうち民間企業が関わる約30事業を優先して具体化する。目玉となるエネルギー分野などは首脳会談の成果として発表される見込みで、両政府がどこまで歩み寄れるかが焦点になる。