【トランプ次期大統領】自動車メーカーに警戒感 「TPP離脱」宣言 輸出戦略に狂い

 トランプ次期米大統領が21日発表したビデオ声明で就任初日に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)から離脱する意思を表明したことに、日本の経済界では警戒感が広がった。とりわけ影響が見込まれるのが自動車メーカーだ。トランプ氏は選挙中、日本車に高い関税をかける姿勢をみせたことがあり、今後の動向次第では輸出戦略の見直しにもつながりかねない。

 経団連の榊原定征会長は22日の定例記者会見で「米国抜きのTPPでは効果が限定的になる」と指摘した。その上で「トランプ氏に(TPPの趣旨を)理解していただけるよう働きかけていきたい」と述べ、再考を呼びかけた。

 トヨタ自動車や富士重工業のように、主要な部品システムを国内工場で生産し、米国の製造拠点に輸出するケースは少なくない。

 財務省の貿易統計によれば、平成27年の米国への自動車部品輸出額は約8844億円で、部品関税率はおおむね2.5%。日米間協議では、米国への部品輸出のうち8割の品目の関税が即時撤廃になると決まった。さらに、米国への乗用車輸出に対する関税分の2.5%が発効から約25年かけて撤廃されることになっており、長期的にも日本メーカーの恩恵になることが見込まれていた。

 逆に、トランプ氏は「日本が牛肉に38%の関税をかけたいなら、日本の自動車に38%の関税をかける」と発言しており、有言実行するようだと日本の自動車メーカーは深刻な事態に陥る。(今井裕治)