トランプ政権の財務長官にムニューチン氏固まる 商務長官はロス氏、閣僚人事大詰め

 【ワシントン=加納宏幸】トランプ次期米大統領は30日、財務長官に金融大手ゴールドマン・サックスの元幹部、スティーブン・ムニューチン氏(53)、商務長官に投資家のウィルバー・ロス氏(79)をそれぞれ指名することを決めた。トランプ氏の政権移行チームが発表した。トランプ氏は同日もニューヨークで国務長官など閣僚の人選を急ぐ。

 ムニューチン氏は大統領選でトランプ陣営の財務責任者を務めた側近で、トランプ氏が経済政策の柱とする大型の減税計画を主導。同氏は米CNBCテレビで「法人税の減税を通じて、大規模な経済成長や個人所得(の増加)をもたらす」と述べた。税制改革や自由貿易協定見直しで3~4%の経済成長が持続可能との認識も示した。

 ロス氏は現在、米国に不利な自由貿易協定を批判する一方で「知日派」としても知られ、9月には国連総会のため訪米した安倍晋三首相とも会談した。

 トランプ氏は29日、厚生長官にジョージア州選出のトム・プライス下院予算委員長(62)、運輸長官に共和党のブッシュ前政権で労働長官を務めた台湾出身の女性、イレーン・チャオ氏(63)をそれぞれ指名すると発表した。

 プライス氏は、トランプ氏が公約したオバマ政権の医療保険制度改革(オバマケア)の「廃止・置き換え」の実現に当たる。チャオ氏はアジア系女性で初の閣僚として労働長官を務め、夫は共和党のマコネル上院院内総務。党内融和にも配慮したとみられる。

 閣僚人事の焦点は筆頭閣僚の国務長官ポスト。トランプ氏は29日、名前が挙がっている2012年大統領選の共和党候補、ミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事(69)やボブ・コーカー上院外交委員長(64)と会談した。