改革を進めてきたイタリアのレンツィ首相が国民投票での敗北で事実上の不信任を突きつけられた。景気が低迷し、欧州連合(EU)離脱を決めた英国民投票やトランプ氏が勝利した米大統領選に続き、既存政治への庶民の怒りが鮮明となった形だが、イタリアの改革の停滞に欧州内外で懸念が広がっている。
イタリア史上最年少の39歳で首相に就任したレンツィ氏自身も元来、古い政治体質からの脱皮を図る「反既存政治」の急先鋒だった。政治制度などを進め一定の成果は出したが、多くの国民が変革の恩恵を実感できず不満を抱いているのが現状だ。
庶民の怒りの受け皿となり、既存政治を鋭く批判する新興の政治組織「五つ星運動」は、ポピュリズム(大衆迎合政治)の手法で着実に支持を伸ばす。リーダー、グリッロ氏は「腹(本能)で投票しろ」と叫び、世論をつかんだ。(共同)