
ロシアのプーチン大統領(右)と握手を交わす安倍首相。北方領土問題の進展に期待がかかるが…=11月、ペルー・リマ(AP)【拡大】
--ロシアのプーチン大統領の訪日が迫っています
本年の5月などの日露首脳会談では、領土問題を含む平和条約交渉をめぐって、安倍首相は“手応え”を強調していましたが、ロシアとの関係改善を示唆するトランプ氏の勝利で風向きが変わったことは確かでしょう。日露接近を警戒していた米国の態度が軟化することで、北方領土交渉に追い風となるとの見方もありましたが、欧米による経済制裁が緩和される可能性が出てきたことで、ロシア側にとっての日本の重要感は低下しつつあるのが実情だと思います。ロシアが経済的に困窮するなか、経済協力を誘い水に領土問題を動かそうという日本側の思惑は外れつつあるのではないでしょうか。
ロシアと欧米の懸け橋となるような外交を日本は展開すべきであったのであり、日本政府が対ロシア制裁に同調したのがそもそもの間違いだったと言えると思います。
--ロシアが択捉島と国後島に地対艦ミサイルを配備するなど、ロシア側の北方領土をめぐる真意は不透明です
もとよりロシアにとってオホーツク海は軍事的な要衝です。核戦略上の拠点であるのはもちろん、中国が海洋進出を図るなか、その警戒からも北方領土は重要であるだけに、領土返還を巡る状況は楽観視できないと思います。
--日露関係についての考えは
もちろん、北方四島は日本固有の領土にほかなりません。元島民の方々がご高齢となられており、一刻も早い北方領土の返還が望まれています。二島先行返還なども取り沙汰されてきましたが、北方領土の日本帰属を前提としつつも、四島の一括返還にこだわらず、領土問題進展に向けた努力を進めるべきだと考えます。