□第一生命経済研究所 主席研究員・宮木由貴子
エシカル(ethical=倫理的)消費について考える2回目。「エシカルな消費」とは、「人や社会・環境に配慮した消費行動」のことで、個々の消費行動としては「エコロジー」「オーガニック」「フェアトレード」などといった言葉で表現できる。
「応援消費・支援消費」もエシカル消費に含まれる。応援消費・支援消費は、被災地や困っている地域を支援したいと、モノを購入することで、2011年に起きた東日本大震災の後に非常に注目を集めたことで記憶している人も多いだろう。その後も日本で自然災害などが発生するたびに、被災地を支援するべく、同様の動きが発生している。
「被災地や困っている地域を支援したいと思って、モノを購入することがある」かどうかについて質問した結果をみると、6.7%が「あてはまる」とし、「どちらかといえばあてはまる」の43.5%とあわせると約半数が「あてはまる」と回答した。
年代別にみると、年代が上がるほど応援消費への意識が高くなる。調査時期が東日本大震災の発生から4年半以上経過した時点であり、本データは16年4月の熊本地震や10月の鳥取県中部地震の影響を反映していない。
ただ、東日本大震災以降、こうした自然災害の後は、おのずと応援消費・支援消費が起きるようになっている。
被災地や困っている地域を支援するための消費を含め、「エシカル消費」を行うには、その活動を一過性に終わらせることなく、継続して行っていく必要がある。
大規模な自然災害からの復興には長い時間を必要とするが、マスメディアからの情報発信の減少とともに人々の意識も風化しやすい。「応援消費・支援消費」では、その効果や現地の復興状況を消費者に伝えるなど、息の長い情報発信も重要なポイントとなる。