
アフガニスタン東部ジャララバード郊外で、かつてガンベリ砂漠と呼ばれ、現在は緑化された地域を見下ろす中村哲さん(中央)=2016年11月(共同)【拡大】
■JICA、江戸の灌漑技術で砂漠を緑地化
日本の江戸時代の灌漑(かんがい)技術を活用した農業支援がアフガニスタンの砂漠を緑地に変えた。国際協力機構(JICA)も技術協力に乗り出し、関係者は「農村が本来の姿を取り戻せば、地域に安定が訪れる」と力を込める。住民らは農業が再興し、かつて地元名産のオレンジにちなんで開かれていた歌会が復活するのを心待ちにしている。
石造りの用水路と両岸の柳の木が日本の風景をほうふつとさせる。周りに広がるのはオレンジの果樹園。かつてガンベリ砂漠と呼ばれ、小鳥が飲む水もないといわれるほど乾いていた。現在は近くのクナール川から絶えず水が運ばれ、豊かな緑が山裾に迫る。
東部ナンガルハル州ジャララバードの15キロ北にあるマルワリード用水路。2003年から同州で農業支援を続ける非政府組織(NGO)「ペシャワール会」(本部・福岡市)現地代表の中村哲さんは「アフガンは氾濫する川を管理して農地を広げた日本の江戸時代と同じ」と話す。
用水路のモデルは、江戸時代に造られた福岡県の農業用取水口「山田堰(せき)」だ。コンクリートではなく石を積み上げ、急流に逆らわず取水する方法を用いている。
ナンガルハル州内に築かれた用水路は計約100キロに及び、東京23区の約4分の1に当たる1万6000ヘクタールの緑化に成功。約60万人が周辺地域でヤギやウシを飼い、コメや野菜をつくって暮らす。住民の男性は「水のおかげで再び農業ができ、元の生活ができる」と喜んだ。