ビー玉が散らばる危うさをはらむ世界 移民がテーマの展覧会が問うもの (1/3ページ)

小さいクルマに荷物を満載する移民をイメージした作品
小さいクルマに荷物を満載する移民をイメージした作品【拡大】

  • ビー玉で床に世界地図を描いた作品

【安西洋之のローカリゼーションマップ】

 ミラノ・トリエンナーレ美術館で移民をテーマにした展覧会を見た。戦乱や貧困の地域から欧州を目指してきた人たちの姿が、さまざまな手段を使って表現されている。異文化や国境の意味を問うドキュメンタリー作品であり、アート作品である。

 アフリカのある国から、どういう交通手段で欧州・地中海沿岸に辿りつき、どこの収容所でどう過ごし、じょじょに欧州のなかを北上していったか。地図上をペンが動きながら、1人1人が語っていく。これを鑑賞者はスクリーンで眺め、ヘッドフォンで聞く。

 あるいは欧州にたどり着けなかった人たち、即ち途中で命を落とした方たちの氏名が年毎にリスト化され、長いテーブルにずらりと並んでいる。その前を「移民とラベリングされない」鑑賞者が通り過ぎる。

 ただ、この美術館内の風景は「仮の姿」でもある。何世紀もの間、決死の覚悟で大西洋を渡った欧州人のことを思うと、欧州人だって、いつ「観賞される」立場に戻るかも分からない。実際、第二次世界大戦中、ユダヤ人たちはどれだけの移動を強いられたことか。

 これらの作品を見ながら、一つのことを思い出した。ぼくが1990年にイタリアに来る直前に読んだ本のことだ。

 日本を出て世界の各国で独立して仕事をしている人たちのレポートである。かなり分厚い本だった。これから外国で生きようとしていた人間にとって、異なった文化圏で生きる意味が分かるかと期待した。実際、読んでみて、あるガイドブックにはなるかもしれないと感じた。

 将来、自分でもそのようなレポートを書いてみたい、とさえ考えた。

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