露パイロット流出 航空大国の落日 ベテラン300人がアジア移籍…最大の理由は?

 広大なロシアで人と物の輸送を担う要、航空業界がパイロットの国外流出に揺れている。6月、中堅の航空会社が多数のチャーター便を欠航させて問題になったのだが、その背景にもパイロット不足があった。

 報道によると、この2年半で機長や教官クラスのベテラン約300人が、ロシアから中国を筆頭とするアジア諸国の航空会社に移籍した。さらに数百人がそれに続こうとしている。

 最大の理由は、給与の格差だ。ロシアのパイロットも一般的に高給取りではあるのだが、移籍すれば給与が4倍にもなるという。経験豊かなパイロットは一朝一夕に養成できないため、中国などは高給で人材を集めようと躍起だ。2014年以降に露通貨ルーブルが下落し、給与が目減りしたことも響いている。

 ロシア最大手の航空会社、アエロフロートでも人材確保が懸案で、他社から移ってくるパイロットには移籍金を支給すると発表した。ロシア自身、外国人パイロットを本格的に受け入れないと立ちゆかない-との声も出始めている。

 旧ソ連が量産したツポレフやイリューシンといった国産旅客機は今やほぼ姿を消し、ロシアの空はボーイングやエアバスなどの舶来機に席巻されている。パイロット不足もまた、かつての航空大国の落日を印象づけている。(遠藤良介)