2017年度の経済財政白書は、最近の消費は改善しつつある所得と比べ力強さを欠くとし、その背景を分析した。雇用や老後の不安から消費より貯蓄に回す傾向が強まっていることに加え、若者には身軽さを求め「脱保有」に向かう動きもうかがえると指摘した。
物価の影響を除いた実質消費は15年度が前年度比0.5%増、16年度も0.6%増にとどまり、景気回復の実感が湧かない要因となっている。
白書は若者に関し、雇用不安から生涯所得を低く見積もるほか、長引くデフレで物価上昇の経験が少ないため消費を先送りする傾向があると指摘した。晩婚や非婚が広がり、新品を買って保有するのではなく、レンタルや中古品の購入で済ませる人が増えているとの見方も紹介した。
30~50歳代は子供の教育や住宅購入で出費がかさむ一方、社会保険料の負担が増していると指摘。老後資金をためるため節約志向を強める傾向もあると分析した。
高齢者では単身世帯が増え、貯金を取り崩して生活する人も多い。住宅や金融資産を持っていても月々の収入がないため、食費や医療費を負担に感じて消費を抑えている可能性を指摘した。
共働きの増加や高齢化が消費形態に変化をもたらした点にも言及した。
百貨店が10年間で売り上げを2割以上減らした一方、好きな時間に自宅で買い物できるインターネット通販が普及し、最近では利用世帯が3割程度まで広がっているとの調査結果を示した。