【論風】問われる国土強靱化政策 九州北部豪雨、未曽有の「流木水害」 (1/3ページ)

 □防災・危機管理ジャーナリスト 渡辺実

 九州北部豪雨災害被災地からの映像にくぎ付けになった。「流木でまちが破壊されている!」。それほど大量の流木が襲ってきている。筆者が経験してきた豪雨土砂災害現場では目にしたことがない。

 ◆東京ドームの3分の1

 九州森林管理局によると、福岡県山中で300カ所を超える表層崩壊が発生。災害発生から1週間ほどたった7月13日、福岡県は被害が大きい10河川から朝倉市と東峰村に流れ出た倒木は20万トン(36万立方メートル)以上になると、航空写真から推計した。この量は東京ドームの約3分の1に相当する。

 ただし、土砂に埋まった流木、海に流出した流木はカウントしていないので、実際はこれ以上の量になるとの報道もある。短時間での記録的豪雨が同時多発の表層崩壊を引き起こし、その土砂と一緒におびただしい流木が谷筋を下った。

 土砂と流木は河川をせき止め、また川筋を変えて被害を拡大していった。下流部では土砂に加えて、流木が突き刺さって破壊された家屋も見られた。その流木は根が付いたまま、また流される過程で表皮がほぼ完全に剥がれたものが多い。土石流と一緒に急流を下ったことがわかる。

 これまでの土砂災害では大量の水と土砂・岩が濁流となって街や家屋を襲っていたが、今回はこれに大量の流木が加わったことが特徴といえる。重機が入れない被災現場での自衛隊の活動も通常の水害被災地とは異なる。これら流木をチェーンソーで切断しながらの行方不明者の捜索は難航し、同時に被災地復旧の障害になっている。

 福岡県は9日、関係部局による横断的な流木対策チームを発足させている。泥をかぶった家財は重い。移動だけでも難儀な作業である。これら水害ゴミ処理でも立ち往生している現状に今回は流木処理が加わることになる。まさに「流木水害」といっていいだろう。

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