特許や商標などの知的財産の活用戦略を、この約4年間で新たにまとめた都道府県が12県にとどまっていることが16日、分かった。政府は自治体の知財政策が低迷しているとみて、文書でてこ入れを求める方針だ。自治体と連携を強め、知財を通じて、中小企業の競争力や農産品のブランド戦略強化につなげたい考え。
特許庁は6月末までに、最近の都道府県の知財戦略や、知事の知財に関する発言、条例制定の有無の計3項目を調べた。
取り組みの方向性を示す知財戦略は2013年以降、35都道府県が手付かずの状態だった。策定や改定をしたのは山形、長野、佐賀各県など。自治体や大学、企業の役割を盛り込んだ条例があるのは青森、鳥取、佐賀の3県だった。知事が昨年以降、議会の所信表明で知財政策を訴えたのは愛知、高知、沖縄各県など9都府県だった。
いずれの項目でも積極的だったのは佐賀県。今年3月にまとめた知財の活用基本構想では、佐賀牛や有田焼を例に挙げ、知財活用がブランド力向上に役立つとして、さらなる取り組みの強化を打ち出した。山形県も、昨年3月に策定した科学技術政策で知財の権利取得支援を拡充するとした。
政府は知財の権利取得を後押しし、農林水産物では地域ブランドとして保護する地理的表示保護制度(GI)などを推進する意向だ。