18年度税制改正 公明税調会長に聞く 年金受給者の税控除見直し

斉藤鉄夫税制調査会長
斉藤鉄夫税制調査会長【拡大】

 公明党の斉藤鉄夫税制調査会長は、共同通信のインタビューで2018年度税制改正の焦点を語り、働いている年金受給者が給与と公的年金の両方で所得税の控除を受けられる現行制度の見直しを検討する考えを表明した。年金以外で高所得を得ている高齢者への課税を強化し、現役世代との間で税負担のバランスを取る狙いがある。

 年金控除をめぐっては政府内にも同様の意見がある。斉藤氏は「年金だけで暮らす方には配慮しつつ、他に大きな収入のある方にしかるべく税を負担していただくのは理解を得られるのではないか」と指摘。「小高い山だが、今年大きく前進させたい」と述べ、年末の議論に意欲を示した。

 一方、高所得者ほど減税額が大きい「所得控除」方式や、サラリーマンに適用される給与所得控除の見直しについては「今年結論を出すのはちょっと速足過ぎる」と述べ、慎重に議論する構えを見せた。現在の所得税が会社員の副業など働き方の多様化に対応できていない点を課題に挙げ、「今後の方向性や理念を明確にするのが今年一番のポイントだ」と語った。

 また、たばこ税で、紙巻きより税負担が軽くなっている加熱式たばこの課税方式見直しが必要だと言及。訪日客誘致の財源を確保するため、旅行者に課す「出国税」など新税を創設する案には「観光産業が発展すれば社会全体の受益も大きい」と前向きな姿勢を示した。賃上げした企業の納税額を減らす「所得拡大促進税制」については、17年度末の期限切れ後も延長した上で、企業による人材育成を支援対象に加えるのも「一つの有力な方法」だと指摘した。