林野庁は2日、担い手がおらず放置されているスギやヒノキなどの人工林を公的に管理する「森林バンク」制度を創設する方針を固めた。森林の管理を市町村がいったん引き受け、意欲のある林業経営者に貸し出して集約を進める仕組み。林業の立て直しに加え、環境保全や防災につなげる。
同日の自民党の農林関係会合で制度案が了承された。年明けの通常国会に関連法案を提出し、2019年度のスタートを目指す。必要な財源は政府、与党が検討している新税「森林環境税」で賄いたい考えだ。
新制度は高齢、後継者不在などの事情で所有者が手入れできなくなった人工林を扱う。大規模農家や企業への農地賃貸を仲介している「農地中間管理機構(農地バンク)」と似た枠組みだ。
荒れた森林は市町村の仲介で経営者らに貸し出すのを基本とするが、伐採効率などの条件が悪く貸出先が見つからない場合、市町村が無償で借り受けて森林組合などに整備を委託する。
国内の森林面積は国土の約3分の2に当たる2500万ヘクタール。そのうち1000万ヘクタールが住宅需要などを見込んだ人工林だが、木材価格の低迷で林業経営が難しくなり、伐採期を迎えた木の多くが利用されていない。
7月の九州北部の豪雨は大量の流木で被害が拡大。しっかり根を張った人工林を維持し、山間部の土砂崩れを防ぐことも課題になっている。