燃費試験データ不正問題、三菱自が意図的操作認める 安全性能には問題なし

 
燃費試験の不正行為について記者会見で謝罪する三菱自動車の相川哲郎社長(中央)=20日、国交省

 三菱自動車の相川哲郎社長は20日、記者会見を開き、軽自動車4車種の燃費試験で実際よりも燃費をよく見せる不正行為を行っていたことを明らかにし、謝罪した。国土交通省に報告し同日、4車種とも生産・販売を停止した。購入者への補償も検討している。外部に独立委員会を設置し、原因究明を進める。

 相川社長によると、不正が明らかになったのは、2013年6月から生産した「eKワゴン」「eKスペース」と、日産自動車に供給した「デイズ」と「デイズルークス」。今年3月末現在で三菱自動車が15万7000台、日産自動車が46万8000台を生産している。

 4車種の型式認証を取得するため国交省に提出した燃費試験データを、国内法で定められた方法以外の方法で測定した上、規定より低い数値を使った。データは車両が走行する際にタイヤと空気の抵抗を測定したもので、正規の試験を受けた場合、燃費は5~10%悪くなるとみられている。

 三菱自動車と合同で次期型車両の開発を行っていた日産自動車が、昨年11月に発見。三菱自動車で調査していた。不正を行ったのは性能実験部で、部長が指示したとしている。三菱自動車は「操作は意図的なもの」としている。安全性能に問題がないため、リコール(回収・無償修理)にはならない見込み。

 相川社長は経営責任について「この問題を解決し、再発防止の道筋をつけるのが私の責任だ」と述べた。

 三菱自動車は、リコールにつながるクレーム情報を隠蔽(いんぺい)していたことが2000年に発覚。国交省に届け出ず、欠陥部品を陰で改修して直す「ヤミ改修」を行っていた。04年にも過去に同様の行為があったことが分かり、厳しい批判を浴びた。