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消費者目線 重ねた小さな工夫
≪TEAM≫
「私たちの役割はあくまで消費者目線に立つこと。オルニチンや味の専門家になりすぎてはいけない」
総勢4人のマーケティングチームのメンバー、小川菜穂さんは自分たちの役割についてこう話す。
専門家には有名なオルニチンも、一般の消費者にとっては初めて聞く名前だ。当時のメンバーだった後藤哲郎さんは「社内の報告書でもオルニチンが『オルチニン』と書き間違えられていたほど。だからこそ肝機能を高めるオルニチンの特徴を分かりやすく伝えることに心を砕いた」と振り返る。
チームの全員がお酒好きのメンバーだったため、企画のための会議も「オルニチンがアルコールを分解するのだから、ちょっとお酒を飲んでからやろう」という和気藹々(あいあい)とした雰囲気で進んだ。
しかしパッケージやネーミングまで担当するチームの仕事は誤算の連続。当初はメーンの顧客として「毎日お酒を飲むサラリーマン男性」を想定していたが、2009年3月に首都圏のコンビニエンスストアで行った試験販売では女性の割合が4割を占めた。健康に良いイメージがある「しじみ」に女性たちが引きつけられたという想定外の結果だ。
このため09年9月からの本格販売では、販路をスーパーにも拡大し、パッケージに「お酒好きのお父さんにおもいやりのみそ汁」の言葉を入れた。お酒好きだとは思われたくない主婦でも手を伸ばしやすいようにするのが狙いだ。こうした小さな工夫を重ねながら、チームは「商品開発に終わりはない」との思いを強くした。
10年末、経済雑誌が選ぶヒット商品のトップテン入りが知らされたとき、メンバーらは「身震いするほどうれしさ」を感じたという。
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