【開発物語】高感度で繊細 心地よい装着感 ソニー、新型ヘッドホン「XBA」シリーズ (3/7ページ)

2012.4.23 05:00

  • 心地よい装着感を出すため、ドライバーユニットの配置やボディーの形状に工夫を施した

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 ドライバーユニットの開発と同時並行で進められたボディーのデザインも同様に苦労の連続だった。ボディーの設計を担当したのは、パーソナルエンタテインメント事業部1部1課の鈴木貴大氏。最大の難所は「2個、3個と複数のドライバーユニットを内蔵させることだった。BA型の特長の一つにドライバーユニットを複数組み合わせると、それだけ音作りの幅が広がり、サウンドが向上する効果がある。

 ただ、複数個使うとボディーの形状が大きく変わり、配置が悪いと音のバランスも悪くなってしまう。それが3個、4個ともなれば、ボディーの設計は相当複雑で難解なものになる。

 鈴木氏が最も重視したのは「装着性」だった。「耳にしっかりと装着できれば密閉性が高まり、音が正しく伝わる」(鈴木氏)。装着感は音にも大きく影響する。どうすれば心地よい装着感が得られるか。鈴木氏は形状試作を大量に作って自分自身だけでなく、周りの人にも実際に装着してもらうことで、理想的なボディー形状を突き詰めていった。社内に膨大な数が用意されている実際に人の耳から型取りしたシリコンの耳型も使った。

 そして完成したのが、ドライバーユニットを1個搭載したモデルから4個搭載モデルまで4つのバリエーションのある「リスニングタイプ」だ。「音質に加え、装着性の面でも胸を張るものができた」と、そのでき映えには投野部長も“太鼓判”を押す。

 また、BA型ドライバーユニットはソニーのヘッドホンの可能性を押し広げている。その1つの例が、ノイズキャンセリング・ヘッドホン「XBA-NC85D」だ。