世界半導体売上高ランキング(2012年1~3月)【拡大】
業界では今世紀に入って、台湾などのファウンドリー(受託製造会社)が生産コストの低さを武器に台頭。開発と生産を分離する「水平分業」の流れが強まる中でも、日本メーカーは地域の雇用維持という側面もあって自社生産にこだわった。その結果、人件費が高い国内での半導体生産は超円高もあって「作れば作るほど赤字」(坂本幸雄エルピーダ社長)の状態に追い込まれた。
この状態から脱却するため、ついに水平分業への一歩を踏み出す動きが出てきた。ルネサスなど3社は事業統合によりシステムLSIの開発・設計会社を設立する一方、工場を切り離して外部に生産委託する形を想定している。「3社のボリュームを合わせてシステムLSIの仕様を標準化すれば、コスト競争力は十分高まるはず」と富士通首脳はみる。実現すれば、国内では初のケースとなる。
高度技術力の維持も重要
ただ、雇用を維持するための工場売却の見通しは明るくない。ルネサスは鶴岡工場(山形県鶴岡市)、富士通は三重工場(三重県桑名市)を売却し、それぞれファウンドリーの台湾積体電路製造(TSMC)に打診している。だがTSMCは、日本で2工場も取得することには消極的とされる。