自社アプリを優先し、最大のライバルであるグーグルの地図アプリを排除するのはごく普通の企業の論理でしょう。特に生き馬の目を抜くIT(情報技術)業界なら…。
ところが「5」の発売直後から、自信満々で採用したこの新しい地図アプリが前代未聞の誤作動を起こすことが判明。各国の利用者から「シェークスピアの生誕地、英ストラトフォード・アポン・エイボンが消えた」「羽田空港が大王製紙と表示されている」といった苦情が殺到。利用者の信頼は大きく失墜しました。米で発売された初代からずっとアイフォーンを使っている記者も、この地図アプリにはがっかりしました。
アップル側は当初「今後、利用者が増えるほど精度が向上する」とダンマリを決め込みましたが、ジョブズ氏からバトンを引き継いだティム・クックCEO(最高経営責任者)は9月28日、利用者に向け謝罪文を出しました。
このトラブルを受け、アップルは10月29日「iOS」や地図ソフトの責任者スコット・フォーストール上級副社長と、直営店「アップルストア」など小売り部門を担当するジョン・ブロウェット上級副社長の2人を更迭する大胆な人事刷新を断行しました。