シャープ・奥田隆司社長【拡大】
今後、株主資本を上回る損失の計上を余儀なくされた場合、債務超過に陥る可能性があることから、増資によって自己資本比率を16%前後にまで高める考えだ。
シャープは12年3月に鴻海と資本・業務提携契約を結び、発行済み株式の9.9%に当たる出資を鴻海から受けることで基本合意。鴻海グループを引受先として1株550円で計約669億円の第三者割当増資を計画していたが、昨春以降のシャープの株価下落を受け、出資条件の見直しを行うことになった。
しかし、3月26日に出資の払込期限を迎える鴻海との交渉は、株の買い取り価格などをめぐって調整が難航。シャープ関係者は「まとまる気配はない」と淡々と話す。
シャープは払込期限の延長なども提案したものの、協業分野をめぐる意見の対立もあって両社の溝は埋まらず、鴻海との交渉は見直さざるを得ないと判断したもようだ。
ただ、大型液晶パネルを製造する堺工場(堺市)の共同運営など、鴻海との業務提携は維持する方向とみられる。