だが、一時は日本の携帯電話向け電池市場でほぼ100%のシェアを誇っていた三洋の衰退は、無残だった。技術者を大事にしない。「やってみろ」とリスクを取る気概がない。いったんやり出したら、なかなか方向転換できない。誰も判断せず、責任を取らない。
「いってみればアクセルを踏むのも遅く、ブレーキを踏むのも遅い。運転にたとえたら、危なくて乗っていられません」
中韓の技術力に陰り
調査会社のテクノ・システム・リサーチによると、パソコンや携帯電話などに使う小型リチウムイオン電池の12年の世界出荷シェアで、韓国のサムスンSDIは25.1%と前年首位のパナソニック(20.7%)を上回り、初めて年間首位になった。
実は、三洋時代に当時の収入の倍ほどの給与で韓国のサムスンから誘われたことがある。だが、断った。「サラリーマンを辞めて、またサラリーマンにはなりたくなくて」