フィルムの主原料であるコラーゲン研究の蓄積によって開発された人工タンパク質「RCP」を培養する研究員=神奈川県開成町の富士フイルム先進研究所【拡大】
フィルム技術からiPS細胞足場材
小田原駅から電車で約10分、自然に囲まれた神奈川県開成町にある富士フイルム先進研究所。その微生物培養室で、白衣を着た研究員がガラスの容器に入った黄色い液体の温度や攪拌(かくはん)のスピードを丹念にチェックしている。
遺伝子工学によって、富士フイルムが人のコラーゲンを基につくる「リコンビナントペプチド(RCP)」と呼ばれる人工タンパク質で、組織再生の足場になる材料(足場材)だ。
京大の山中伸弥教授のノーベル賞受賞で脚光を浴びたiPS細胞(人工多能性幹細胞)などを使った再生医療に不可欠で、同社はiPS細胞の培養に特化したRCP開発も加速させる。
再生医療に欠かせない細胞の研究は、大学で盛んに行われている。ただ、足場材は品質を維持しながら大量に生産する技術と能力が必要で、富士フイルムはそこにビジネスチャンスを見いだした。