資生堂社長交代会見。会見後握手を交わす、社長を兼務する前田新造会長(右)と体調不良で社長を退任し相談役に就任する末川久幸社長(左)【拡大】
内憂外患
末川氏は社長時代の前田氏を参謀役として支えた若手エースで、2年前の社長就任会見でも「改革を引き継いでいく」と語った“前田路線”の継承者。海外経験はないものの国内化粧品事業に精通しており、51歳(当時)の若さで後任に抜擢された。
だが、就任の前月に東日本大震災が発生し、国内の消費マインドは低下。昨秋には、尖閣諸島の国有化をめぐる反日デモと日本製品の不買運動で、海外部門の牽引役だった中国事業も大きな打撃を受けた。
国内外で建て直しを迫られた末川氏は「売上高が伸びなくても利益を確保できる筋肉質な経営体質」を目指した。昨年4月、美容部員によるカウンセリング機能付きの通販サイトを開設し、国内販売のてこ入れに着手。
今年1月には、半世紀以上にわたりスキンケア製品などを製造してきた鎌倉工場(神奈川県)の閉鎖など大型のコスト削減策も打ち出した。ただ、中国事業の“止血”には有効な対策を講じられず、社内外に不満と不信を募らせた。