遅くとも2年以内というところだろうか。買収成功後、サービスの統合が同社の収支にどれほど貢献できるか示すための時間はメイヤーCEOにはあまりない。グーグルやフェイスブックと異なり、ヤフーを率いるメイヤーCEOは外部から招聘(しょうへい)された、雇われCEOなのだ。つまり、メイヤーCEOの後ろ盾となっているのは、短期的な展望しか持たない外部の強い株主ということになる。
短期的に見れば、メイヤーCEOが取り組むべき課題の一つとして、企業文化そのものを改善することが挙げられる。数千万ドル規模の買収をうまく受け入れて自社のものとすることができなければ、数十億ドル規模の買収が成功するはずがない。その失敗がメイヤーCEOの追放を意味するのはもちろんだが、成功すれば企業再建の専門家としての伝説に新たな一ページが刻まれることになる。
これまでにメイヤーCEOが積み重ねてきた小規模の買収は、彼女が狙う、より規模の大きい買収へのステップと考えられるだろう。敗北者が大好きなシリコンバレーにあって、メイヤーCEOにはこなさなければならない仕事が山のようにある。必要な時間が株主から与えられれば成功の可能性はある。幸運を祈ろう。
文:イジョビ・ヌウェア
訳:堀まどか
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【プロフィル】Ejovi Nuwere
イジョビ・ヌウェア ニューヨーク生まれ。全米最大の無線LAN共有サービスFON創業者のひとり。ビジネスウイーク誌により「25人のトップ起業家」に選出される。2008年に日本でオンラインマーケティングに特化したランドラッシュグループ株式会社を設立し、現最高経営責任者(CEO)。