70年前のミシンを使いながら、構造を手と目で覚え込むアイシン精機の新人研修=同社提供【拡大】
電子化の進展とともに構造が複雑化していく現代の自動車。コンピューターでの設計・製図、製品性能のシミュレーション(模擬実験)も増えてきた。
技術者が機械を直接いじる機会が少なくなってきた時代。自動車部品大手のアイシン精機は、ものづくりの原点を再確認しようと、技術開発部門の新入社員に「ミシン」を使ったユニークな研修を取り入れている。なぜ、ミシンなのか。
すべての部品に分解
カタカタ…。ペダルを踏むと、約70年前に製造された足踏みミシン「HA1」が軽快に布を縫い始める。「ミシンは約300点、最近の製品は約千点の部品で構成されています。しっかり保守すれば、70年前のミシンも動きます」。講師の言葉に新入社員は興味深そうに耳を傾けた。
新入社員は足踏みミシンを動かし、縫製を体験する。その後、最新型のミシンを一つ一つの部品にまで分解。糸を組み合わせる部品、縫い目をつくる部品など、数百点以上の部品すべての役割を理解する。