70年前のミシンを使いながら、構造を手と目で覚え込むアイシン精機の新人研修=同社提供【拡大】
指導にあたる技術管理部の安藤宰さんは「これだけ複雑な機構なのに、足踏みするだけで利用できる。難しい動きを簡単な入力で可能になるよう工夫を凝らしてきたからだ。
機械とは本来、そういうもの。メカの楽しさを知ってほしい」と話す。近年の製品は電子制御で複雑な作業も簡単にこなすが、自らの手と目を使うことで機械本来の姿を知ることが目的だ。
チームワークも習得
ちなみに研修教材に使われるHA1。戦後の混乱で苦境に陥っていた同社が、新規事業開拓を目指して開発したミシン1号機だ。今や世界で5本の指に入る自動車部品メーカーの同社だが、先人の苦労、心意気を体で知ろうという狙いもある。
すべてを分解したあとは、もう1度組み立て直す。自らの手と目を使うことでさらに理解を深めるためだ。「『観』も重要な要素。技術者は観察し、想像力を高めることが大事」との考えに基づく。