5月22~24日にパシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展」に出展した三輪EV「エレクトライク」と開発した日本エレクトライクの松波登社長【拡大】
そんな三輪車に出合えた。40歳のときだ。父親が設立したガス検知器メーカー、東科精機(同)の2代目社長としてタイに出張したとき、ミゼットによく似た三輪車「サムロ」が街中を走っていた。かつての日本の光景がよみがえった。
早速、サムロの輸入販売会社サムロ・ジャパンを立ち上げたが、品質が悪く日本上陸はかなわなかった。同社は今、日本ヴューテックと名前を変えて、トラックの巻き込み事故を防ぐ後方視認システムを商品化し、成長した。
三輪車の復活に向け、輸入販売という最初の試みは失敗に終わったが、それでも夢を捨てることはなかった。しかもEVという時代の要請に応える格好で再チャレンジが始まった。経営する東科精機、日本ヴューテックが安定的に収益を生み出せるようになり、「(夢の実現に向かって)好きなことをやれる」環境になったことも大きい。
安全性向上などに力
二輪車の小回りと経済性、四輪車の積載量をあわせもつ三輪車は、郵便配達や宅配便といった軽便な輸送手段に打って付けだ。EVなので静かで排ガスもまき散らさず、環境に優しい。「三輪EVが売れないわけがないし、使わざるを得なくなる」との揺るぎない信念を持つ。