5月22~24日にパシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展」に出展した三輪EV「エレクトライク」と開発した日本エレクトライクの松波登社長【拡大】
そのための戦略を披露した。量産による調達コストの低減もあるが、「不安定な操縦性を補正する装置のアクティブホイールコントローラーで国際特許を取る。そしてバジャジに技術供与し生産を委託する」という。
年産100台までなら試作・開発を中心に手掛ける自社工場で対応できるが、量産体制に入ると生産委託に頼らざるを得ない。車を生産できる設備さえあれば送り込まれた部品を組み立てるだけで済むので、協力してくれる企業をグローバルに探すという。
息吹き返す機会
一方、バジャジ社長にも面会を求めていく。「とにかく乗ってみてほしい。バジャジもEVに興味を持っているようなので乗れば良さが分かる」と強気だ。そう語る松波の手にはインドネシアから取材に来た記者が書いた新聞が握られていた。「インドネシアにはバジャジ製タクシーが走っており、バジャジに情報が届くはず」と秋波を送る。
四輪車の普及で三輪車は消えていく運命だったが、操縦性能の向上による安全面での不安払拭とEV化により近距離輸送手段として息を吹き返す機会がやってきた。松波は「とにかく安く提供できればうまくいかないわけがない。世界的にも必要なクルマになる」と強調する。
数年後には「日本エレクトライクは(工場をもたない)ファブレス企業のベンチャーとして成功する。オンリーワンでいける」と目を輝かせる。(敬称略)