5月22~24日にパシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展」に出展した三輪EV「エレクトライク」と開発した日本エレクトライクの松波登社長【拡大】
価格100万円以下に
コスト低減に向け、もう一つのネットワークも構築した。部品調達のグローバル展開だ。シャシーはインド最大の二輪車メーカーのバジャジオート製三輪車を活用。同社はバジャジ財閥の中核企業で、1986年に川崎重工業と技術提携。高度な生産ラインから三輪車だけで月間4万5000台を生産、このうち5割をインドネシアなど東南アジアに輸出している。またリチウムイオン電池は中国製、バッテリーマネジメントシステムはデンマーク製を採用。「買いたくなる三輪EV」に改造して販売することで製造原価を抑える。
松波にとって待ちに待った発表のときがやってきた。4月16日、受注開始の記者発表と試乗会をJR南武線高架下の工場(川崎市中原区)で開いた。試乗した記者たちは小回りの良さに驚いたが、課題も指摘した。提示した価格が200万円だったからだ。
松波も分かっており、「宅配業界から『採算が合うことを実証してくれ』と言われた。1充電で40キロ走れ、荷物は150キロまで載せることができる。小回り性能も分かってくれたので、100万円以下を実現できれば間違いなく売れる」と実用化に自信を深めた。
2013年度(年間販売10台)、14年度(同100台)を試験期間と位置づけ、15年度から本格展開し、年間1200台の販売を目指す。このころには100万円まで価格を引き下げる考えだ。