印刷会社が電子書籍の事業展開を加速している。凸版印刷はスマートフォン(高機能携帯電話)やタブレット端末の画面の高精細化に対応した、読みやすい書体の開発をスタート。大日本印刷は今秋、子供向けの電子書籍サービスを始める。いずれも紙媒体にとどまらない幅広い消費者を意識した対応で、電子書籍の普及を後押ししそうだ。
凸版印刷は電子書籍向けの新しい書体の開発に乗り出した。第1弾として今秋、書籍本文に用いる「明朝体」の提供を始める。電子書籍は印刷工程で文字がつぶれる心配がないため、従来の明朝体よりも線を太めにする。
画面上で文字を拡大しても読みやすいという。2016年春までに、明朝体のほかに本文用のゴシック体など合わせて5書体を順次提供していく計画だ。
「電車の中吊(づ)り広告で見た週刊誌の気になる記事を、そこだけ読みたい」といった“ちょい読み”需要の取り込みでは、同社がバンダイナムコグループと共同で開発中のスマホ向けアプリ「中吊りアプリ」が注目されそうだ。