コメ先物取引の1日平均の出来高(月別)(大阪堂島商品取引所)【拡大】
実際、卸最大手の神明(神戸市)が今春、コメ先物取引を始めた。
JAが価格決定権を握る国産米の相場について、「やや高い」と不満を漏らす他の卸業者もコメ先物市場に前向きで、消費者にとっても買い求めやすいコメが増えるはずだ。
海外取引所も虎視眈々(たんたん)
中国の鄭州商品交易所は、日本のコメと同じ短粒種(ジャポニカ米)先物の上場を検討しており、年内にも上場が認められる。
中国で取引が本格化する前に日本の取引を増やさなければ価格決定力を中国に奪われかねない。そうなれば、日本米の輸出価格は、中国の先物価格を参考に決められ、大幅に値崩れする可能性もある。
5年ごとの国の統計調査(農林業センサス)によれば、22年の水稲収穫農家(米作農家)は115万戸と、45年間で4分の1にまで減少した。農業自給率も低下しており、今後は日本の人口減少も加速する。
消費者目線のコメ作りを強化し、国産米の輸出競争力を高めなければ、国がどんなに保護策を打ち出してもいずれ農家は衰退してしまうだろう。
参院選の圧勝で、「ねじれ国会」を解消した政府与党は、今こそ毅然(きぜん)とした態度で農業改革に取り組むべきだ。TPP交渉とコメ先物取引は、その“試金石”になる。
政府の“本気度”がコメ先物市場活性化のカギを握りそうだ。