昨年9月から神戸市で本格稼働しているスーパーコンピューター「京(けい)」の製薬会社による活用が加速している。産業利用として採択された25件の研究主体には製薬大手が名を連ねる。年内にも同じ兵庫県内にあるX線自由電子レーザー施設「SACLA(さくら)」との連携がスタートする予定で、1秒間に1京(京は1兆の1万倍)回の計算ができる世界最高レベルの“頭脳”を駆使した新薬開発の土壌が関西で整ってきた。(藤原章裕)
柱が1本もない50×60メートルの広々とした計算機室に、高さ約2・4メートルのラック(筐体(きょうたい))864台が整然と並ぶ。ラックには中枢部品のCPU(中央演算処理装置)を4個ずつ搭載したボード計24枚が、ぎっしり詰め込まれている。この「京」を企業が活用できる産業利用枠は全体の5%。無償だが成果の公開義務がある「無償利用」と「有償利用」があり、有償の場合、割り当てはCPUの利用数(ノード)×時間で計算し、企業は1ノード時間当たり12・68円を支払う仕組みだ。