産業利用に採択された25件には、武田薬品工業や第一三共など製薬大手の研究テーマが入っている。京によるシミュレーション(模擬実験)は、新薬候補となる化合物の絞り込み期間が大幅に短縮でき、巨額の投資と長期間を必要とする医薬品の開発を大幅に効率化できるからだ。
中でも、大日本住友製薬は来年3月までに、503万8080ノード時間と最も多い利用枠の割り当てを受ける。すべて使うと、利用料は総額約6400万円。京の8万8128個のCPUをフル稼働した場合、約57時間使える計算になり、活用は順調だ。
利用目的は新薬候補となる化合物の絞り込みなど。病気にかかわる生体内のタンパク質と反応させて薬効や副作用をじっくり確認しなければならないが、同社のスパコンでは、1日で1種類の化合物の解析が限界だった。処理能力の高い京を使うことで、1日に100種類以上の化合物の解析が可能になり、同社の多田正世社長は「化合物の絞り込み期間を従来の3~3年半から2割程度短縮し、2~2年半程度にできるのではないか」と試算する。