首都圏が、国内電力各社の“草刈り場”になろうとしている。中部電力と関西電力が今夏、首都圏で電力小売りに乗り出すとぶち上げたからだ。価格は東京電力より割安に設定する見通しで、電力10社の「地域独占体制」が崩れ始めた。競争が厳しくなれば各社の体力は損なわれる。一方で、利用者には電気料金が安くなるメリットもある。(藤原章裕)
虎視眈々
「東京(首都圏)エリアは大きな市場なので、長い目で検討していきたい」
中国電力の小畑博文副社長は10月中旬、都内での記者会見で首都圏参入に興味を示した。だが、同社は原子力発電の比率が低く、島根原発(島根県)の再稼働も見通せないため、11月の電気料金は7544円と電力10社中4番目に高い。
小畑副社長は「現在の料金では(参入しても)東京の顧客の理解を得るのは難しく、当社の収支も苦しい」とし、進出のタイミングについては「原発の再稼働後に考えたい」と慎重に言葉を選んだ。