松下幸之助歴史館の玄関に立つ幸之助氏の銅像=大阪府門真市【拡大】
否定に理解?
パナソニックでは今なお「経営の神様」と呼ばれた幸之助氏の影響力が絶大だ。中村氏も社長時代に経営判断に迷うと、敷地内の松下幸之助歴史館に足を運び、何時間も考え込むことがあったという。
その中村氏は社長時代に「経営理念以外は壊して良し」と号令した。経営の神様が打ち出した事業部制の廃止など構造改革を実行した。
だからこそ、巨額赤字からの復活のためには不振の原因となった仕組みや方針は創業者の考えたものであっても否定せざるを得ないケースがあることは熟知しているはずだ。
津賀社長は、過去の経営の象徴として中村氏を“目の敵”にするが、そこにはいまや、かつて鮮やかな業績のV字回復を成し遂げた中村氏を「中興の祖」として聖域化している現実がある。