これは車を運転中の有名ミュージシャンが街中で知人を見つけて脇見運転をしてしまうが、自動でブレーキがかかり、衝突を回避。自動ブレーキを搭載した車ならば、脇見運転をしても大丈夫ととられかねない内容に仕上がっていた。
「何も知らずにあのCMを見れば、自動ブレーキは絶対安全と思い込んでしまう。実際にそう思っている一般の人も少なくないはずだ」。自動車業界をよく知るアナリストはこう説明した上で「それだけに事故に遭った2人は災難だったが、今回の衝突事故で自動ブレーキに対する過大な期待が変われば同じような事故は減る」と指摘する。
発展途上の自動ブレーキ。過信は禁物
自動車業界では今、各社による「自動運転技術」の開発競争が激しさを増している。自動ブレーキも自動運転を実現するための基幹技術のひとつだが、今回の衝突事故で分かったようにまだ発展途上の補助技術という域を脱しない。
自動運転技術の実用化にむけては、各社ともスピード感をもって取り組んでおり、「(今回の事故が)大きな影響を及ぼすことはないだろう。ただ、利用者の意識は『まだ自動技術には頼れない』という風に変わったかもしれない。メーカー、ドライバーの意識が同じように上がって、自動車の安全性が高まっていくことが重要だろう」とメーカー関係者は話している。