新日鉄住金は3日、精密加工分野で使われる量産ステンレス鋼として、世界最小の超微細結晶粒を持つ製品を開発したと発表した。精密加工性が上昇し、電子機器の小型化や高密度の実装化に対応できるという。
新製品は板厚0.1ミリ前後。精密加工においては、反り、波打ちのない平らな形状、エッチングなどの加工を施した後でも反りやねじれなどの変形を起こさないといった厳しい基準が要求される。新日鉄住金では独自の成分設計と加工段階での制御により、平均的な結晶粒の大きさを一般的なステンレス鋼の10分の1まで微細化した。
精密加工用のステンレス鋼板需要は、世界で年1000トン以上程度にすぎないが、増加するスマートフォンやタブレット端末などの電子機器製造には欠かせず、加工精度のより厳しい要求に向けて拡販が見込めるとして、「現在10~15%程度のシェアを上げていきたい」(特殊ステンレス商品技術室の喜多勇人主幹)としている。