円高是正により輸出環境が好転した自動車メーカーなどの好調な生産を受け、鉄鋼業界は苦境から一転、活況を呈している。鉄鋼各社がフル生産態勢で旺盛な需要に応えているからだが、その一方で固定費削減のため過剰設備を見直す動きを緩めない。むしろ通商問題も絡んで国内から海外への生産移転は続きそうだ。需要増も国内生産の維持が精いっぱいで、最適な生産態勢の構築を急ぐ。
「国内景気の回復で需要は増加した。建設向けが好調で、製造業向けも底を打ち、年央から増加に転じた。(需給の)タイト感が強まっている」
日本鉄鋼連盟(鉄連)の友野宏会長(新日鉄住金社長)は、2013年の鉄鋼業界をこう振り返った。
新設には踏み込まず
建設向け需要は東日本大震災からの復旧・復興需要が本格化したことで膨らみ、円高是正は輸出産業の鉄鋼需要を増大させた。このため、高炉を含めた上場35社の13年度の経常利益予想は前年度の3.9倍に当たる6950億円となり、鉄鋼メーカーの好調さを裏付けている。