現在、中東諸国で消費されている日本製のトーブは約40~45%。そのうち、高級品とされる消費量のほぼ100%が日本製というから驚きだ。
その高級品の約7割を占め、トップシェアを握るのが東洋紡。その後をシキボウや、東レ子会社の一村産業が追う。汎用(はんよう)品である韓国やインドネシア製と比べ、日本製は価格で2倍ほどもする品だが、現地の人気は不動のものだ。
しわになりにくい、速乾…機能性が人気
もともと、トーブは綿100%で作られていたが、時代ごとに素材も変わってきた。綿にポリエステルを混ぜた綿混素材を経て、現在はポリエステル100%、レーヨンを混ぜたものなどにと様変わりしている。
ポリエステルが採用されたのはしわを嫌う現地のニーズに応えたため。伝統的な民族衣装だが、現代は洗濯してもすぐに乾くといった機能性、使いやすさも重視されている。
こうした合繊を使いつつも、柔らかな風合いを実現しているのが日本製の特徴だ。ハリを保ちながら適度なドレープ性があり、美しいシルエットを作れる。白一色ながら、国や流行によって微妙に異なる色調を出せる表現力、安定した品質を保つ技術力も圧倒的な支持を得る理由だ。