社長交代の理由について説明する武田薬品工業の長谷川閑史社長㊧と、後任のクリストフ・ウェバー氏(BenedicteMaindiauxbenedicte.提供)【拡大】
「グローバル経営」を標榜する武田は、他社に先駆けて積極的な海外展開を進めてきた。外国人従業員比率は7割、経営幹部会議のメンバー9人中5人が外国人で、取締役会での議論、文書はすべて英語になっている。
それでも、武田は売上高ベースでは国内最大手だが世界ではトップテンにも入らない。本拠地であり世界でも市場規模2位の日本には、外資の参入が続く。海外での大型M&A(合併・買収)も進めたが、2011年に1兆円超の巨額買収をしたスイスのナイコメッドは欧州・南米を中心に約1万人の社員を抱える巨大組織で、日本人幹部ではうまく動かせなかった。現状では乗り越えがたいグローバル化の波が、決断を促したようだ。
壁は「島国根性の企業文化」か?
来年6月に社長に就任するウェバー氏は薬学の博士号を持ち、GSKでアジア太平洋の上級副社長を務めた後、ベルギーにあるGSKワクチン社の社長に就任。武田がヘッドハンティングしたのは、攻略を意識する新興国での実務経験が買われたとみられる。