安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」を牽引(けんいん)役に、「脱デフレ」に向けて歩み始めた日本経済。2日に始まった百貨店の初売りセールが開店前から長蛇の列ができるなど、個人消費は堅調な動きを見せる。だが、消費税が引き上げられる4月以降は、購買意欲の冷え込みも懸念される。商品やサービスが、これまで以上に消費者の厳しい選別にさらされそうだ。各企業は新たな需要創造と生産効率化を求め、「次の一手」に動き出している。
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■高額品好調を維持
「おおーっ」「これはうれしい~」
ステーキハウス、フォルクス晴海トリトン店(東京都中央区)。注文の料理が運ばれてきた会社員2人組のテーブルから歓声が上がった。
テーブル中央に置かれたのは厚さ約5センチ、約900グラムの巨大なリブロースステーキ。価格はサラダバー3人分付きで8900円。3人で分けても、1人当たり3千円近くになる豪華版だが、「食べ応えがあり、しっかりとした肉の味が楽しめる」(市川浩之エリアマネジャー)として、来店客からは好評という。
外食チェーン各社は最近、ステーキなど高価格帯のメニューに力を入れる。背景にあるのは、高額品需要が牽引する堅調な個人消費だ。フォルクスを運営する吉野家ホールディングス(HD)傘下の「どん」がリブロースステーキをメニューに加えたのは昨年12月5日。「少し前までは、こんな高単価メニューは考えられなかった」(同)と話す。