小売り各社は、季節商品の前倒し販売を加速させ、競合他社に“先着”したい考え。そごう・西武は初売り商戦が一段落する10日から、前年よりも約2週間も前倒しで春物衣料の展開を始める。厳しい冷え込みが続く時期に、パステルカラーのストールやスプリングコートなど春物衣料に売り場の2~3割をあてる。
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■コスト削減でお得感
価格に敏感な消費者に振り向いてもらうには、合理化で製造コストを下げるとともに、増税分以上の「お得感」を感じてもらう努力も不可欠だ。
食品メーカーは品目数を絞り込むことでコストを下げる。世界的な燃料費や原材料費の高騰もあって、明治は年間300以上あった新商品の菓子を1割削減、伊藤ハムは今後、ハム・ソーセージなど加工食品の品目を、現在の2300から1500に減らしていく。
建設資材や人件費の高騰に悩む住宅業界では、住友林業が、住宅の土台となるコンクリートの基礎部分を工場で生産してから現場で組み立てる工法を導入。基礎部の工期を半分に短縮して人件費を削減している。
「お得感」を象徴するのが自動車メーカーの燃費競争だ。スズキが24年12月に発売した軽自動車「アルト エコ」は、25年3月に燃費性能を1リットル当たり30・2キロから33・0キロとし、さらに同12月には35・0キロに引き上げた。