狙いはライバル、ダイハツ工業の「ミライース」(33・4キロ)を追い抜くこと。開発費は膨らむが、「価格を上げずに燃費を改善しなければシェアを奪われる」(スズキ)との危機感は強い。
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■価格以上の上質感追求
反動減の影響を受けにくい、腰を据えた商品戦略にかじを切る動きも出てきた。
ソニーは販売好調なフルハイビジョンの約4倍の画素数を示す「4K」に対応したテレビ販売に照準を当てる。狙うは、2月に開催されるソチ五輪や6月に開幕するサッカーワールドカップ(W杯)ブラジル大会の需要だ。平井一夫社長は「スポーツコンテンツは4Kのような技術と親和性がある」と語る。公式スポンサーを務めるW杯では決勝戦など複数の試合で、4K画質での放送が計画されている。
流通大手やコンビニエンスストア各社は、利益率の高いプライベートブランド(自主企画、PB)商品の拡充を急ぐ。セブン&アイHDは、「価格以上の上質さを追求していく」(村田紀敏社長)と、高品質のセブンプレミアムの品ぞろえを増やし、平成28年2月期にはグループ売上高で約5割増の1兆円を目指す。
飲料各社も上質感の追求を図る。アサヒビールは2月、これまでギフト限定だった「スーパードライ ドライプレミアム」の通年販売に踏み切る。サントリー酒類は、「ザ・プレミアム・モルツ」のPR販促を強化。キリンビールも5年ぶりに「一番搾り生ビール」の製法を改良し、「定番価格での上質さ」をアピールする。
「消費者の選別の目はますます厳しくなる。高い商品にも、安い商品にも、理由が必要だ」。キリンHDの三宅占二社長は、現在の消費動向をこう分析している。