外食産業も国産志向
農業のグローバル化戦略では海外展開に目が行きがちだが、忘れてはいけないのが、いかに国内マーケットを守るか、という視点だ。コストを重視する食品加工や外食・中食業界で、農家は安価な輸入農産物の攻勢にさらされている。消費者が産地を含めて吟味する小売店では国産農産物が強いが、産地が直接見えない加工品や外食などでは置き換えが起きやすい。
一般には「品質は良いが高い国産農産物」と「品質はそこそこだが安い輸入農産物」の競合と思われているが、その対立軸の設定に落とし穴がある。国産野菜を売りにした外食チェーンが業績を伸ばしたように、外食や加工食品などの業界にも国産志向は決して弱くない。需要家のニーズを「安かろう悪かろう」と誤認識し、手ごろな価格で国産農産物を調達したいという本質的なニーズに答えられていないことが問題である。
例えば、外食向けにコメを販売する農家が新たに開発された多収品種を用いるような工夫が考えられる。ある多収品種は一般的な品種より3~5割ほど収量が多い。白飯として食味評価するとブランド米に若干劣るがカレーライス、炒飯、丼といった料理に適している。これらの外食店をターゲットに多収品種を供給すれば、コスト削減と食味の維持を両立できる。コメに限らず、需要家のニーズに耳を傾ければ輸入品の価格攻勢の中にもビジネスチャンスがある。