国内市場の縮小やグローバル化の進展など企業を取り巻く環境が厳しさを増し、社員の能力向上が一層求められるようになった。このため業務に有用な技術習得は業界を問わず盛んだが、「自己管理は個人の責任」ともされ、達成したところで目に見える形で社員に報いる企業は少ない。しかし、精密バルブ製造大手のフジキン(大阪市北区)は、資格を取得した社員に対し毎月手当を支給するほか、禁煙やカフェイン自粛など健康管理まで支給対象とする手厚さだ。経費削減に血眼になる企業が多いなか、ここまで社員に報いる同社の狙いとは-。
会社負担は年6000万円
「高圧ガス製造保安責任者」。フジキンの大阪柏原事業所(大阪府柏原市)では、取得した資格が書かれたバッジを作業帽に付け、社員がきびきびと働く。掲示板には、資格を取った社員の顔写真入りの名札がズラリ。
「資格取得の動機付けになっています」と同社ES人事総務部の岡田至功係長。後押しするのは、フジキンが誇る「資格取得奨励制度」だ。