関電が再稼働を目指している大飯原発4号機(左)と3号機=福井県おおい町【拡大】
2月9日に投開票される東京都知事選。新人16人が立候補する大混戦の模様を、各地の電力会社関係者らが固唾を呑んで見守っている。理由は、候補者の一部が政策に掲げる「脱原発」。都知事には直接原発を停止させる権限はないものの、世論の行方や選挙結果次第では、各社が進める再稼働計画が変更を余儀なくされる可能性もあるためだ。2020年東京五輪を前に、有権者が下す判断は-。
「都知事選の結果が、原発再稼働を遅らせる要因にならなかったら良いが…」。脱原発が選挙戦の争点としてにわかにクローズアップされてきた1月23日の告示の前日。停止中の大飯、高浜両原発が立地する福井県内のタクシー運転手の男性は、心配そうにこうつぶやいた。
男性の息子は地元の原発関連産業で働き、妻と幼い子供を養っている。だが大飯原発3、4号機が停止し「原発ゼロ」になった昨年9月以降、息子の残業は減り、男性自身も給料が激減した。雇用や経済が原発に深く根付く地域にとり、原発の停止は文字通り死活問題だ。