元日本銀行北京事務所長で、キヤノングローバル戦略研究所の瀬口清之研究主幹は、「中国で実績を残している日本企業は、地方政府は日本企業を必要としていることをよく理解している」と話す。クボタもこうした地方政府の事情を理解し、投資や高い技術供与、人材育成を惜しまなかった。
日本企業がこぞって中国進出したのは約15年前。飛躍的な経済成長を取り込もうとしたが、失敗例も数えきれない。ある経済産業省幹部は「中国は当時『世界の工場』になるといわれたが、そう思って進出した企業は失敗している。成功したのは『現地化』を成し遂げた企業だ」と指摘する。
瀬口研究主幹は「中国は世界の一流企業がこぞって闘う市場。ここで負ければ、世界で負けたのと同じだ」という。「投資額が世界最大、だからリスクも世界最大」(瀬口氏)と、世界一難しく、かつ魅力的な中国市場。そこでの勝負は、企業のグローバル展開戦略が通用するかをはかる一つの試金石になるといえそうだ。
(中山玲子)