経営再建中のシャープが変わろうとしている。新年度に入り主要企業が一斉に入社式を開くなか、創業102年目を迎えた歴史で初めて入社式を報道関係者に公開した。これまでは、あくまで社内行事として公開を控えてきたが「会社が変わる意志を社外に発信する」(高橋興三社長)場に位置付けた。開かれた入社式は組織・意識改革を進めるシャープの今の姿を映し出していた。(織田淳嗣)
「まず最初に、社長の高橋さんです」
1日、大阪市阿倍野区で開かれた式典では、役員9人が役職ではなく「◯◯さん」と呼ばれ、順番にあいさつした。
同社は昨年から、社員同士は相手を「さん付け」で呼称する運動を推進している。背景には、経営陣や上司の判断に「ノー」と言えない社内の雰囲気のため、経営危機を招いた巨額投資を止めることができなかったとの反省がある。現場の声を組織の「上」に直言できる風通しの良い社風を目指すのが目的だ。
初めてトップとして式に臨んだ高橋興三社長は「まだまだ安心できないが、今年は再成長の軌道に乗る年になる」と訴えた。